あなたにもお子様にも、怒りたいときに好きなだけ怒る権利があります。ただ、怒りで他人を動かすことはできないことも、同時に学ばなければなりません。
ヘルシンキ生活の練習 146ページ
こんにちは。ブック部☆草野です。
私が最近読んだ本をご紹介しますね😊
ヘルシンキ生活の練習 朴沙羅 著 筑摩書房 2021年
「練習」と書いてあると、何かのハウツー本かと思ってしまいそうですが、
社会学の研究者である著者が、幸福度が高いと言われるフィンランドに移住した体験を書いたエッセイ(と言い切っていいかどうか分かりませんが…)。
でも決して「フィンランド最高!」という感じでもなく、フィンランドも日本も他の国も、今の社会になっていった歴史的背景や土台があって「違う」だけ、ということが客観的に語られています。
最近は雑誌やネット上でも
北欧=おしゃれ、ていねいな暮らし
というイメージがありますが、政治や戦争など、今まで知らなかった歴史についても書かれていて、なんだか読んでいくうちに目からウロコが少しずつゆっくり落ちていくような感覚を味わいました。
この著者は、フィンランドの首都ヘルシンキに職を得て、2人の小さい子を連れて移住しています(夫は日本に残ったまま)。慣れない土地での子育ての様子が、京都出身の著者の軽快な関西弁を交えて描かれていて読みやすいです。
(社会や政治や戦争のあたりはちょっと難しかったけど…)
とくに、
私は、自分のことをいい母親だとは思わない。
(131ページ)
という言葉で始まる「母親をする」という章は、同じ母親として共感できる部分が多々ありました。ヘルシンキの相談員による、つい子どもに怒ってしまうときの対処法は、国は関係なく全母に役立ちそうです。ちなみに冒頭の引用も、ヘルシンキの相談員の言葉です。
ところでタイトルについている「練習」ってなんのこと?って感じですが…
感受性や好奇心や共感力や根気といったものは「スキル」であって「練習」が必要なもの、というのがヘルシンキの保育園での考えなんだそうです。性格や才能ではなく「練習」によって身につけたり伸ばしたりできるもの。(大人も!)
よく、褒めて伸ばすと言いますが、著者によればヘルシンキの先生たちは…
別にユキを褒めたわけではなかったのかもしれない。学校教育を受けるにあたって、あるいは集団生活を送るにあたって、必要とされるさまざまなスキルのうち、ユキがすでに充分に練習を積んでいると思われる項目を挙げただけだったかもしれない。(120ページ)
そもそもあの先生たちは「いいところ」対「悪いところ」という発想を取っていないのだ。「練習が足りていること」と「練習が足りていないこと」があるだけだ。
(128ページ)
とても客観的というか、ドライというか、
できているところはちゃんと認めて、できていないところは見ないのではなく「練習中」と捉えるって感じですかね…。
「褒めて伸ばす」ということについて、自分の中で少し咀嚼できた感じがしました🤗
興味のある方は手に取ってみてくださいね。可児市立図書館でも借りることができますよ!(ちなみに私も借りました。)
℡・fax 0574-63-8303 (直通)
mail siminsiensitu@kani-npo.gr.jp
開室時間 8:30~19:00
休館日 毎月第1土曜日、年末年始
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